Pioneer DJ 操作性を極めたシームレスなDJ体験
世界中のDJたちに愛されている Pioneer DJ(現・AlphaTheta Corporation)は、プロフェッショナル向けDJ機器「DDJ‑REV7」の開発にあたり、これまでにないユーザー体験を実現するために新たな挑戦を行いました。その中でも特に注力したのが、ジョグホイールの中心に組み込まれた円形ディスプレイのUI開発です。
このディスプレイには、再生中の楽曲の波形や再生速度、BPM、残り時間・経過時間など、DJプレイに欠かせない情報が表示されます。プレイ中に視線を逸らすことなく必要な情報を即座に把握できることが、プレイヤビリティの向上に直結するからです。
しかし、限られたリソースの中で、美しくかつパフォーマンスの高いGUIを実現することは簡単ではありませんでした。そこでPioneer DJが選んだのが、Embedded Wizardでした。組込み機器向けに最適化されたこのGUIツールは、i.MX RT1050のような比較的性能の限られたプラットフォームでも滑らかで応答性の高いUIを構築できる点が魅力でした。
実際の開発では、Embedded Wizardが以下の点で大きな成果を上げました。
- 高精細な波形表示と、楽曲構造(イントロ・ドロップ・アウトロなど)の視覚的把握
- BPMや再生情報のリアルタイム表示
- オーディオとの高精度な同期とスムーズなズーム・スクロール操作
特筆すべきは、Proof of Concept(PoC)段階での成果です。大量のデータを扱う波形描画処理においても、Embedded Wizardは安定したパフォーマンスを発揮し、期待以上の表現力を証明しました。この成功体験が、製品採用への大きな後押しとなりました。
こうして誕生した DDJ‑REV7は、視覚表現と操作性の両面で高い評価を獲得し、Red Dot Design Awardも受賞しました。Embedded Wizardの導入は、単なるUI開発の選択肢という枠を超え、製品全体の完成度を高める重要な要素となったのです。